「当たり前」をひっくり返す(バザーリア・ニィリエ・フレイレが奏でた「革命」)

本日の本は。

  • 世界ではじめてイタリア国内のすべての精神病院(マニコミオ)を廃絶することに成功し、地域で治す精神医療の創出に尽力したフランコ・バザーリア
  • スウェーデンの知的障害者施設の問題に取り組む中で、施設の論理を破壊しノーマライゼーションの原理を打ち立てたベンクト・ニィリエ

価値観をひっくり返し、支配‐抑圧という関係性を変えた3人についての本です。

「当たり前」をひっくり返す

寛, 竹端
現代書館 (2018-11-13)
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印象に残った部分

  • ニィリエは、入所施設という保護された退屈な環境が、個人が刺激や影響を受けられる環境で発達する機会を奪っており、ゆえに他者からの敬意を得ることや、自尊心を高める機会をも奪っている、ということに気づいた。
  • なによりも無意味なことは、農民たちの沈黙を、ぼくの言葉で「満たす」こと、そうすることで、かれらが表明しているイデオロギーをかえって強化することだ。ぼくがしなければならぬことは、農民たちが言っていることを受け止め、それを問題化し、そこから新しい対話を導きだしていくことだ。
  • バザーリアのゴリツィア時代の日々の仕事の中で、括弧に入れるということは、「症状」に着目するのではなく、患者が言おうとしていることを注意深く聴くことに着目することを意味していた。精神病、アルコール依存症、うつ病といった大半の一般的なラベルを貼らずにいることは、簡単なことではなかった。
  • 私たちの科学は、伝統的な専門技術者の敗北という根本的な前提条件から出発しています。そうした専門技術者は、「これ以外にはやりようがない」と考える人であり、「理性の悲観主義」といえるイデオロギーをもっています。新しい専門技術者は、明確な目的をもたなければなりません。つまり「実践の楽観主義」で自分の仕事を進展させるのです。

感想

ドイツ出身の現象学の創始者として知られる哲学者エトムント・フッサールの著書では、エポケー(判断中止)という概念が出てきます。

私たちは普段、世界が存在していて、その中に様々な事物、人間、価値などが存在していると自然に確信していますが、その確信を一時的にストップしてみる、ということらしいです。

この本でもよく出てくる表現だった「括弧に入れる」という態度、当たり前だと思っていることを一旦置いておいて、フラットな観点でもう1回考える、自分が「当たり前」だと思っていることを、本当にそうなのかな?と疑ってみる、そういう態度が大切なんだなーと思いました。
「これ以外にやりようがない」ことを言い訳にしていないか。

特に私の関わる福祉の分野はこれがなされていないかもしれない。
組織の考え方が当たり前になっていて、
その対応は本当にクライエントの最善の利益になっているのか。
クライエントが言っていることを「受け止め、それを問題化し、そこから新しい対話を導き出していくということ」が大切。
アクティブリスニングはよーく肝に銘じているところですが、言うは易く行うは難し。
常に意識しないといけないですね。

また、半世紀も前にこういった思想をもち、実際に行動をした3人のプロセスを学ぶことで、
得られるものは大きいのかもしれない。

思想を具体的な行動に移すこと、そして「括弧に入れて」考えるクセを付けたいと思いました!

 

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