道州制を考える

憲法改正や大阪都構想に付随して日本のあるべき統治機構が議論される中で、再び議論されているのが道州制かと思うので、ここで道州制のまとめメモ。

道州制について

道州制については、地方公共団体と国家的性格を有する中間団体としての道州、地方公共団体としての道州など、その性質についても類型があるところですが、

道州制を進める意義は次の2点にあると思います。

  • 地方分権をさらに進めること
    国は全国的に行うべき外交・防災や治安・司法などに専念し、内政については、各地方自治体が地方自治の本旨に沿って行政運営することが望ましい 
  • 広域的組織の方が財政面での体力もつき、なおかつ効率的に行政運営ができること

戦後の中央集権的行政運営は、日本全国均一の政策と迅速な意思決定により、高度経済成長と戦後復興をもたらしました。

中央集権的行政運営があったため現在の日本があるので、その統治機構の評価をしつつも、現在は次のような課題に直面しており、中央集権的行政運営から、「地方でできることは地方で」という道州制が議論されるようになっているのです。

  1. 都市への集中を招いた。東京圏一極集中は都市圏と地方の格差を生み、首都機能が集中していることによるリスクもある。
  2. 少子高齢化・人口減少により、地方の衰退が顕著
  3. 個性豊かな地域社会形成の必要性
  4. 社会情勢の変化

全国一律発展・一律統治の国のかたちから、地方のことはより身近な地方が自ら考えるという改革です。
内政に関することは基本的に地方で。
それを担えるための必要な税財源や権限を備える必要がある、という議論です。

道州制の経緯

1995年 地方分権推進法
1999年 地方分権一括法、2000年に機関委任事務が廃止される
1999年 市町村合併の動きが加速

このような中で道州制が検討されるようになった背景は、次のとおりです。

  1. 市町村規模が大きくなり、相対的に小さくなった都道府県の役割の在り方の議論として、道州制が検討されるように。
  2. 中央集権的行政運営を変革する必要性
    東京一極集中の是正、少子高齢化・人口減少への対応、急速に変化する社会情勢への対応、個性豊かな地域社会の形成

2003年 第27次地方制度調査会:広域自治体としての役割を十分に発揮するには、都道府県の区域拡大が必要。

2005年 第28次地方制度調査会
①地方分権の推進及び地方自治の充実
②自立的で活力ある圏域の実現
③国と地方を通じた効率的な行政システムの構築を目指して、道州制の枠組みを提示。
2006年には「道州制のあり方に関する答申」において、道州を地方公共団体とし、道州の区域例を示した。

しかし、現在では道州制導入の具体的な議論は進んでいない状況です。

道州制の考え方

「道州制」といっても、その性質で考え方が概ね次の4つに整理されます。

道州制の考え方 概要
A 国の行政機関としての道州

国の出先機関をまとめた、国の行政機関としての役割

B 地方公共団体としての性格と国家的性格を有する中間団体としての道州 地方公共団体としての性質もあるが、州長官は政府において任命・派遣され、国の出先機関としての役割も持つ
C 地方公共団体としての道州 住民による選挙で選ばれる首長と議会からなる地方公共団体としての道州
D 連邦制国家の構成単位としての道州 行政権だけでなく、立法権、司法権も持つ連邦制国家の構成単位としての性質

道州制を「地方公共団体としての道州」と「基礎的自治体」とを置くことを前提とした場合

第28次地方制度調査会で答申された道州制の枠組みは、「地方公共団体としての道州」です。

  • 現在の都道府県の区域を拡大した「道州」を設置
  • 住民によって直接選挙された道州の長と、道州議会の議員を置く
  • 国の地方出先機関は原則廃止し、道州に事務を移譲
  • 従来の都道府県が持っていた事務はできる限り市町村に移譲

賛成の論拠

賛成派の論拠としては、次のようなことが考えられます。

  • 市町村合併により市町村区域が拡大、政令指定都市や中核市の制度も考えると、相対的に扱う地域が小さくなった都道府県の役割を見直す必要が当然にある。
  • 環境問題や産業振興、交通網の整備、医療計画など、より広い区域で政策を立案することができる。
  • 地方公共団体の道州として、国から権限及び財源移譲をすることにより、より地域の実情にあった自律的な地方自治の運営が可能となる。
  • 47都道府県を廃止し、7~10程度の道州を設置すれば、47いる首長及び議会が7~10に集約されるので、行政効率が上がる。
  • 国は、外交・防衛、通貨、金融、年金、司法など、国本来の役割に専念し、内政に関することは基本的に地方が担いとなる地方分権に資する。

反対の論拠

一方で、道州制反対の論拠としては次のようなことが考えられます。

  • 道州制制の導入によりさらに市町村合併を強制すれば、多くの農山漁村の住民自治は衰退する。
  • 基礎的自治体において各地域のインフラや人口などの基盤や行政運営の執行能力に格差がある。地方交付税制度など国の地域間格差是正がなくなれば、基礎的自治体の格差がさらに拡大する。

国は国家的規模で行うべき役割に専念し、地方のことは地方で決める。
二重行政を解消し行政の効率化に資する、というのは道州制のメリットだと思います。
実感としても、国が国税として集めた税金を地方交付税として配布することや、地方が事務を行う際に国の補助金や交付金を獲得するためにその基準にあった事務をするなど、
無駄だなぁと思うことが多いです。

これが地方公共団体独自の財源で、独自に事業をできるようになったらそれだけで人件費が削減されると思われます。
また、地域の実情にあった政策ができる。
となると、地域の実情にあった政策を立案したり、従来は国の地方出先機関が担っていた事務を道州は受け入れる必要がありますから、
そういった人材育成、組織体制の整備が必要ですね。

道州制は国の形を改革する議論なので、
1国民として関心をもち、
日本にとって望ましい道州制となるように参画しなければいけませんね!

 

4 Comments

もの

情報が整理されてて読みやすかったです。
官僚がかなり反対してるそうですが、都道府県という体制は実情にあってないと思うので、道州制は検討すべきですね。
防災のためにも、内政機能を各地方に分散させることにもなりますし。
通勤圏が複数の都道府県にまたがってる場合は特に、道州制の必要が高いと思いますので、関東や近畿は先んじて道州制を導入しても良いように思っています(地域によって自治制度が違うのはスペインなどでも見られます)

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れじとり

コメントありがとうございます!どういう形が最も良いのか、議論する必要がありますね。
全国一律ではなく、まず東京・大阪の二大都市のある地域から導入を検討する、他国の自治制度との比較・検討も必要ですね。

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Bee!!

この時期に非常に興味深い内容でした。
私は当初、「自分の県が都会と同じ州になれるぜ!」位にしか思ってませんでしたが、昨今の政府、政治家、官僚の劣化を目の当たりにし、いよいよ本格的にその必要性を感じております。
私としては、地方公共団体としての道州の考えですが、デメリットにもある市町村単位での公共サービスの低下が大きな懸念です。
ですので、県、市町村の機能は残したまま新たに公選制で主張を選んだ州知事のポストを増やすのが良いのではと考えます。
州議会は県知事が議員を兼任し、州の方向性を決定する場として。
以降県、市町村で詳細な市民の為のサービスを続けてもらう。
これが現状最も導入しやすい形ではないかと考えます。
まだまだ考えが浅いですが、久しぶりに国というものに興味がわいたのでコメントさせて頂きました。
長文、駄文失礼しました。

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れじとり

コメントありがとうございます!
市町村単位の公共サービスの低下、大きな課題ですね。
人口減少社会において、行政はどこまで役割を担うべきなのでしょうか。
そういった役割分担の議論も必要なのだと思います。
今回の状況は、中央集権的だからこそ、国がスキームを示さないと地方は動けないという状態があるのかと思います。
でも、学校の休業や休業要請の時期・範囲、神奈川県でのウォークスルーPCR検査の実施など、
各自治体の異なる状況を受けて、各自治体が判断して対応していますね。
自治体の在宅勤務についても、優先的な業務を自治体全体として決定して、
今本当に集中すべき業務だけを行い、あとは在宅・規模縮小といった判断をした自治体もあります。
自分たちの地域のことは自分たちで決めることが必要ですね、権限と財源セットで。

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